2016年1月27日水曜日

資産が乏しい場合、成年後見人の報酬はどうなるか

司法書士や弁護士などの専門職が成年後見人に就任する場合、

依頼者(申立人である親族の方など)が一番気になるのは、成年後見人に支払う報酬がどのくらいなのかということでしょう。

親族である申立人を後見人候補者として申し立てた場合でも、候補者が後見人に選任されるとは限りませんから、第三者が選任された場合はなおさらです。

被後見人に資産があまりない場合、

つまり、年金などの収入があるものの、施設費や生活費で使いきってしまい、他に財産がない場合、
後見人の報酬を、親族が支払わなければならないのではないかと、思われるのではないでしょうか。


成年後見人の報酬は、あくまでも被後見人本人の財産の中から支払われることになります。

その額は、家庭裁判所が決定します。

後見人は、定期的に(例えば年に1回)家庭裁判所に、報酬付与の申立てを行い、家庭裁判所から報酬額の決定をもらい、

被後見人本人の財産から(通常は通帳から)、報酬額を引き出し、受領するのです。


被後見人の資産がない場合、ない袖はふれないということで、後見人報酬は、なし、になります。

本人の資産がないのに、家庭裁判所が無理やり報酬額を決定することはあり得ません。

親族に支払え、ということもありません。


後見人は、ボランティア、になります。



そういう場合でも、市の成年後見の報酬助成(市町村長申立てに限る場合が多い)を利用したり、助成基金を利用して、報酬をうけとることが可能な場合もあります。




2016年1月26日火曜日

成年後見申立のきっかけ

裁判所の統計によると、

全国で成年後見制度を利用している方は18万人ほど。

毎年3万件以上の申立がなされているようです。


当事務所でも、成年後見のご相談はよく受けるのですが、

成年後見申立のご相談に来られるきっかけというものが必ずあります。



もっとも多いのは、預金が引き出せなくなった、引き出すためには成年後見申立をするように金融機関に言われた、というものです。

金融機関としても、本人の財産を保護する必要があることから、ご家族であっても当然に認知症の本人の預金を自由に引き出させるわけにはいかないのです。


ほかには、

認知症のかたを相続人とする、遺産分割や相続手続きを行う必要が出てきた、

とか、

借金のあることが判明し、法的な債務整理が必要だ、

老人ホームの費用をねん出するために、自宅を売却する必要がある、

といったこともあるでしょう。


注意しないといけないのは、こういったきっかけで、親族の方が後見人になったり、第三者専門職が後見人になった場合、

きっかけとなる事由が解消したとしても、後見人としての業務は終わらないということです。

口座が使えるようになったから、ハイ終了、とはいかないのです。


通常は、被後見人が亡くなるまで、後見業務は続くのです。

いったん後見人に就任すると、辞めたくなったからやめます、と、簡単には辞めさせてもらえません。

親族の方で、後見人になろうとお考えの方は、この点は覚えておく必要があります。

2016年1月23日土曜日

不動産しか相続財産がないとき、遺産をどう分けるか

相続が発生すると、遺産をだれとどのように分けるかが問題になります。


有効な遺言がなければ、相続人全員で決めることになります。

誰と分けるか、については、相続人がだれになるのかということなので、わりと簡単に判明します。

同時に、相続分がどうなるかということも簡単に判明します。


問題になるのは、どのように分けるかですね。

相続財産がたくさんあって、種類が多い場合、比較的遺産分割しやすいでしょう。

例えば、不動産があって、預貯金や現金もあって、そのほかに金融資産などがある場合です。

不動産は配偶者に、貯金は長男に、金融資産は長女に、という感じで遺産の形を変えずにそのままの状態で分けることができます。
もっとも簡便で、よく用いられる分け方です。
また、預貯金や現金などは金額で分割できるため、遺産分割の不公平をなくすための調整にも使うことができて便利です。

こういう遺産分割の仕方が現物分割です。


しかし、相続財産が不動産だけ、という場合は少々やっかいです。

現物分割で、だれか一人の相続人に不動産を相続させるのであればいいのですが、
相続人全員で分けたい場合、不動産をハサミで切って分けることはできません。

不動産を相続人全員の共有で登記するのは、後のことを考えるとあまり得策ではないでしょう。

そのような場合、不動産を一人の相続人に相続させ、他の相続人には、不動産を取得した相続人が相続分に見合うお金を支払うという遺産分割方法をとることがあります。

不動産を取得する相続人に、金銭的な余裕がある場合に用いられます。
これを代償分割といいます。


不動産を取得する相続人に金銭的な余裕がない場合、どうするか。

その場合、不動産を売却し、金銭に変えてから分配するという方法があり、これを換価分割といいます。

もう不動産は相続しても仕方がない、住む予定も、使う予定もないという場合にも用いられる方法です。

換価分割の場合、譲渡所得税がかかる点に注意が必要です。


事案に応じた遺産分割の方法があることは知っておくとよいかと思います。

遺産分割について詳しくはホームページもご覧ください。

→ 司法書士いまよし事務所:遺産分割協議


なお、相続税がかかる場合、死後10か月内に申告が必要なので、遺産分割は早めにする必要があります。





2016年1月22日金曜日

2月は、相続登記はお済みですか月間

日本司法書士会連合会(日司連)と各都道府県の司法書士会では、
毎年2月を「相続登記はお済みですか月間」と定め、相続登記の手続きを促す啓発活動の一環として、相続登記に関する無料相談会を開催しています。

大阪司法書士会でも、2月に相続登記無料電話相談会が開催されます。


相続登記は期限が定められていないため、手続きが遅れがちであるうえ、
中にはそのまま放置していたり、うっかり忘れてしまう人もいます。

相続した土地や建物を亡くなった人の名義のままにしておくと、いざ売るという場合や担保に入れて融資を受けようとする場合などに、手続きが順調に進みません。

また、相続人が死亡してしまったり、新たな相続人が現れ権利が複雑化してしまうなどの事態が発生すると、時間も費用もかさむようになりますので、登記は早めに確実に終わらせておくことが重要です。

しかも、登記の手続きも個々の相続によって千差万別ですので、専門家に相談いただくのが確実な方法です。


当事務所の相談案件でも、相続登記を長年放置した結果、法律関係が複雑になりすぎて、

手続費用(裁判所予納金)が超高額で払えず、相続登記をしたくてもできないという事案がありました。

おそらく、半永久にお蔵入りでしょう。


記事はこちら→ 長期間放置された相続登記のきびしい結末



不動産の相続登記について詳しい説明はこちらもご覧ください

→ 司法書士いまよし事務所:不動産の相続登記



相続登記は、お早めに!

ご相談をお待ちしております。


2016年1月21日木曜日

当事務所の相続専門サイト、大阪相続相談サポート室の記事を更新しました。

当事務所の遺言、遺産相続、成年後見の専門サイト、大阪相続相談サポート室の記事を更新しました。

司法書士のひとりごと

H28.1.19 被後見人の施設探し です。


相続や遺言、成年後見に関する日常を書いています。



素行のよくない、独居の被後見人の方の、施設入所が決まったお話です。

2016年1月20日水曜日

今年の滑り出し

新年が明け、1月も後半に入りました。

年明けは、年末からご依頼のあった会社設立の登記申請から始まり、

新年のご挨拶回り。


その後、

ご紹介による、本店移転のご依頼、会社設立のご相談、不動産のお取引の段取り、財産分与の登記、根抵当権の抹消と。

また、ホームページからは、生前贈与のご相談や債務整理のご相談をいただきました。

本当に、ありがたいことだと思います。


昨日は後見申立の即日面談の同行、

本日は債務整理の相談、

明日は不動産取引の立会、



今年も頑張っていきたいと思います。



2016年1月19日火曜日

離婚に伴う財産分与と不動産登記

離婚に伴う財産分与のご依頼をいただきました。

不動産の財産分与です。


財産分与の場合は、単純に名義を変える(所有権を移転する)よりも、住宅ローンなどが絡む場合が多いかと思います。

住宅ローンがなければ、不動産の所有権を移転して終了ということになるのでしょうが、

住宅ローンが絡むと少々面倒です。


住宅ローンの債務者をどうするのかという問題があるからです。


今回は、財産をもらう側が、住宅ローンの債務を承継することで銀行の承諾を得ることができたようです。

もとの債務者(財産を渡す側)は、住宅ローンの連帯保証人となりました。


さて、お互いが財産分与の内容に合意し、銀行の承諾も得たところで、ようやく不動産登記の手続です。


ここでまた、注意点があるのです。

元の名義人(財産を渡す側)の登記簿上の住所と、現住所が異なる場合は、住所移転登記を先に行う必要があること。
さらに、債務者の住所変更登記も先に行う必要があること。

銀行の商号などが変わっている場合は、先に抵当権の登記名義人の名称変更を行う必要があること。


今回は、すべて該当しました。


結局、

1、財産を渡す側の、所有権登記名義人の住所移転登記

2、金融機関の、抵当権登記名義人の名称変更登記

3、元の債務者の住所変更による、抵当権変更登記

4、ようやく、財産分与による、所有権移転登記

5、やっと、免責的債務引受による、抵当権の債務者変更登記


という登記申請になりました。

一口に財産分与といっても、いろいろなパターンがあるものです。


ちなみに、今回の依頼者のかた、素晴らしい内容で公正証書を作成しておられました。

それも、自分で考えて。

おそれいりました。