2016年4月13日水曜日

相続放棄と遺留分放棄

お客様からお問い合わせがありました。

「相続放棄をしたいんですけど~。」

「相続放棄ですね。どなたの相続放棄ですか?」

「父親ですねん。母親と、私を入れて3人の子どもがいますねん。」

「お父様がお亡くなりになられたわけですね?」

「いやいや、父はまだ生きてますねん。」

「??」


よくよく聞いてみると、父親が将来亡くなったとき、財産を全部母親に移るようにしたいので、自分たち3人の子どもがあらかじめ相続放棄をしたいのだということです。

よくわかりました。


しかし、生前に相続放棄をすることはできません。

この場合、方法としては父親に遺言を作成してもらうこと。

そしてさらに有効な手段としては、遺留分放棄の許可も家庭裁判所に申立ることです。


遺言で、全財産を母親、つまり父親の妻に相続させると書けば、優先的に母親に財産を相続させることはできます。

しかし、子どもたちにも相続する権利として、遺留分というものがあります。

遺留分は今回の場合、法定相続分6分の1の半分、12分の1ずつです。

この12分の1の相続分は、遺留分として守られているので、遺言ですべて母親に相続させたとしても、遺留分減殺請求(要するに取り返すこと)をすることができるのです。


そこで、今回の主旨をより完全なものにするために、あらかじめ遺留分を放棄することができるのです。

遺留分を放棄した相続人は、遺留分請求をすることができなくなります。

遺言とあわせてこの制度を利用することで、確実に母親に遺産を残すことが可能です。


相続放棄となんとなく似ていますが、

相続放棄ははじめから相続人でなかったことになるのに対し、

遺留分放棄のほうは、相続人であることには変わりません。



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