お客様からお問い合わせがありました。
「相続放棄をしたいんですけど~。」
「相続放棄ですね。どなたの相続放棄ですか?」
「父親ですねん。母親と、私を入れて3人の子どもがいますねん。」
「お父様がお亡くなりになられたわけですね?」
「いやいや、父はまだ生きてますねん。」
「??」
よくよく聞いてみると、父親が将来亡くなったとき、財産を全部母親に移るようにしたいので、自分たち3人の子どもがあらかじめ相続放棄をしたいのだということです。
よくわかりました。
しかし、生前に相続放棄をすることはできません。
この場合、方法としては父親に遺言を作成してもらうこと。
そしてさらに有効な手段としては、遺留分放棄の許可も家庭裁判所に申立ることです。
遺言で、全財産を母親、つまり父親の妻に相続させると書けば、優先的に母親に財産を相続させることはできます。
しかし、子どもたちにも相続する権利として、遺留分というものがあります。
遺留分は今回の場合、法定相続分6分の1の半分、12分の1ずつです。
この12分の1の相続分は、遺留分として守られているので、遺言ですべて母親に相続させたとしても、遺留分減殺請求(要するに取り返すこと)をすることができるのです。
そこで、今回の主旨をより完全なものにするために、あらかじめ遺留分を放棄することができるのです。
遺留分を放棄した相続人は、遺留分請求をすることができなくなります。
遺言とあわせてこの制度を利用することで、確実に母親に遺産を残すことが可能です。
相続放棄となんとなく似ていますが、
相続放棄ははじめから相続人でなかったことになるのに対し、
遺留分放棄のほうは、相続人であることには変わりません。
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